「たけのこの里」が立体商標として登録されました。
「たけのこの里」は明治のお菓子で、一度は食べたことがあるのではないでしょうか。
立体的な形状は、立体商標として登録することができます。
有名なのは、コカ・コーラの瓶の立体商標やヤクルトの容器の立体商標です。
コカ・コーラの瓶の形状はコカ・コーラのものであると出所が認識できますし、ヤクルトの容器の形状もヤクルトのものであると出所が認識できますね。
他に立体商標として、ケンタッキー・フライドチキンのカーネルサンダースの像や、本田技研のスーパーカブが登録されています。
いずれも、その形状を見れば、どこのものであるか出所を認識することができますね。
特許庁は、コカ・コーラの瓶の立体商標やヤクルトの容器の立体商標も、審査において「その形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」であり(商標法第3条1項3号)識別力を有さないとして、拒絶しています。
これらの出願は、拒絶査定不服審判を請求しましたが、それでも認められず、審決取消訴訟において、長年の使用により、誰のものであるか識別力を有する(商標法第3条第2項)と認められて登録となりました。
特許庁は、立体商標を、簡単に登録したがらないようです。
話は「たけのこの里」の立体商標に戻りますが、この「たけのこの里」の立体商標の出願も、「その形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」であり(商標法第3条1項3号)識別力を有さないとして、拒絶理由が通知されています。
つまり、「たけのこの里」の立体商標は、たけのこのの形状を普通に用いられる方法で表示しているにすぎないと言っています。
指定商品が「たけのこ」だったらその認定も理解できますが、指定商品が「チョコレート菓子」であるのに、たけのこのの形状の立体商標が、その形状を普通に用いられる方法で表示する標章というのは、腑に落ちない感じがしますが。
明治の代理人である弁理士は、識別力を有する(商標法第3条第2項)と立証するための資料としてどのようなものが必要であるか、審査官に面接しています。
そして、代理人は、意見書において、
①「たけのこの里」は、1979年に発売を開始し 現在に至るまで40年の長期にわたり日本全国で販売されていること。
②「たけのこの里」の売上高が2018年度 4,174,079,000円であり、販売数量が
2018年度 25,780,000個であること。
③「たけのこの里」のチョコレート菓子におけるシェアが2018年は9.9%であること。
④「たけのこの里」を、1979年の発売当初から現在に至るまで、テレビCM、新聞、ウェブサイトなどで、全国で広告宣伝を積極的に行っていること。
⑤関東圏及び関西圏在住の15~64歳男女1,246名を対象 とした立体想起率調査において、本願商標の画像を提示し、純粋想起で商品名を質問したところ、回答者の89%が、「たけのこの里」と回答したこと。
⑥本願商標の使用商品は、40年にもわたるロングセラー商品であること から、度々新聞等にも取り上げられていること。
⑦本願商標の使用商品のシリーズの一つである「大人のたけのこの里」は 、日本食糧新聞社主催の平成25年度 第32回 食品ヒット大賞において、優秀ヒット賞を受賞していること。
を主張したところ、この主張が認められて、登録査定となりました。
代理人である弁理士は頑張りましたね。
「たけのこの里」の前に、2018年に「きのこの山」の立体商標が登録されているので、出願人も代理人も頑張れば登録されるであろうと感じていたのでしょう。
意匠権の存続期間は出願の日から25年ですが、商標権は更新をすれば、永久的に権利が存続します。
長年の立体商標の使用により、その商標に信用が蓄積されているわけですから、第三者の使用を防ぐという点で、このような立体商標は保護されるべきですね。
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